脚本家は、肉が好き。
若い女性と二人きりで喫茶店で喋る方法。
投稿日時:2009/09/07(月) 19:34
劇場が近いからか、
この街で珈琲を飲んでいると、
演劇関係者が近くに座ったりすることがとっても多い。
本当に多い。
いない方が珍しいくらい、毎日誰かが近くで演劇の話をしている。
今日は、二組ともが、「オヤジ × 美少女」という組み合わせだった。
オヤジの方は、本当にオヤジである。
靴も服もいまいち。
なんだその白いスニーカーは。
喋り方も、妙に声がうわずった猫なで声だ。
一方は作家っぽい。
他方はプロデューサーっぽい。
金はさほどは持っていなさそうな感じ。
美少女の方は、どちらも25歳くらいか、文字通り美少女である。
そういう場合はたいていが、女優だ。
で、こういう美少女たちは、
なんだか無垢な妖艶さを持っていることが多く、
そういう場合はたいていが、新人女優だ。
今日も2人ともが妙な色気ビームをオヤジに向かって、いや、
喫茶店全体に後光のように放出していた。
そういう場合はたいていが、売れ始めた新人女優だ。
そうなると、もう何人たりとも勝てやしない。
見返り目線を喰らうと、誰もがしかばねになるのだ。
僕は、abcの脚本を見直そうとテーブルの上に広げていたのだが、
原稿に向けるべき集中力は、完全に聴覚へと奪われていく。
乙女たちは、ホンについて、仕事について、
如何にあなたを尊敬しているかを見事な笑顔と笑い声で伝えていた。
胸が大きく前髪パッツンな溌剌とした森見登美彦小説的な赤い服と、
大人しく清楚で小綺麗な格好をした筒井康隆小説的な白い服。
あれは、オヤジへの公開処刑のようなものだ。
誰だってすすんで撃たれることを望むだろう。
「くそお。そんなオヤジのどこがいいんだ!」
とやるかたない嫉妬心をもやしながら、原稿の同じ行を何度も往復していると、
ふと、
「もしかしたら俺もあんな風に見えてるのか!?」
と我に返って恐怖のどん底に突き落とされた。
まずい。
早急に戦略を練らなくてはならない。
「うら若き乙女と二人きりで喫茶店で喋る正しい方法」
一、きちんとした身なりで行く。特に靴。
一、色気ビームから身を守る。特に前髪パッツンに注意。
一、褒めるときは、声を上ずらせない。
一、褒められても、へらへらしない。
一、下心を持っていることを周囲(とくに原稿を広げて聞き耳を立てている脚本家など)に悟らせない。
そんな記念日。
記事タイトル:若い女性と二人きりで喫茶店で喋る方法。
(ブログタイトル:脚本家は、肉が好き。)
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